こんな求人広告に気を付けろ――仕事内容が超・抽象的な場合
求人広告制作のウラのウラまで知り尽くした僕が、これから転職活動をしようという人にお役立ち情報を提供するコーナー。今回は、何度読んでもよく分からない、もやーんとした仕事内容が書かれている求人広告について、ウラ側をお伝えします。
もやーんとした求人広告は存在するのか
残念ながら存在します。
もちろん、エン転職としてはそんな広告が生まれないように最大限努力はしているのですが、稀に生まれてしまうのです。ほかの媒体でも同様のことが起きます。そしてそれらは、大体同じような理由で生まれてしまうのです。
そして、これは元求人広告コピーライターとしてのアドバイスですが、もやーんとした仕事内容の求人広告は地雷率が高いのでやめておいたほうがいいと思います。
仕事内容が抽象的になる理由
【理由01】仕事内容が決まっていない
「ウソでしょ!?」と思うかもしれませんが、意外とあるんですよ。どういうときに生まれるかというと、社長の鶴のひと声で作られることになった新部署や新ポジションの時ですね。こういう部署や専門家が必要なことは分かっている。でも、その部署や専門家が何をするか、本人たちは分かっていないんですよ。
なので、「入社される方のこれまでの経験を踏まえて業務領域をいっしょに考えていきましょう」といった文言とセットになっていたりします。
しかし、その部署やその職種の人がどんな仕事をするか分かっていないわけですが、やって欲しいことのイメージはなんとなく持っていたりするわけです。で、よく発生するのは、「仕事量と給与額が見合わない」というパターン。その職種の経験者であれば、どこまで求められているかを面接時に聞いて自分から提案しちゃって交渉を有利に進められたりするのですが。
未経験者の場合は、「フタを開けたらすごく大変だった」ということも充分起こりえるので、あまり考えずに手を出すのはやめたほうがいいと思います。
【理由02】採用担当が募集職種の仕事を分かっていない
これもよくあるパターンです。非生産部門の立場が極端に弱い会社の場合とか、採用担当が募集職種の責任者にくわしい仕事の話を聞けないってことがあるんですよ。また、採用担当がまだ社歴が浅くて社内営業ができていなかったり、採用担当の理解力が低いってこともあります。
転職サイトの人間が現場の人に取材ができれば、こんなことは起きないのですが、できないことも多くて、採用担当者に取材をすることになるんですよね。
なので、採用担当者自身もよく分かっていないまま話すものですから、転職サイト側としても、なんとなく分かるような分からないような情報しかもらえないわけです。結果、超・抽象的な仕事内容の広告が生まれてしまうのでした。
そんなわけなので、何をやる仕事か分からないし、採用担当が採用基準を間違えている可能性もあるし、入社後に一番の被害を被るのは求職者ということもあり得ます。
【理由03】書きたがりの採用担当者が手直ししちゃった
これも多いです。それなりに歴史があって、地元では名を知れている会社の40~50代の採用担当者が関与してくる場合が多いですね。ご自身の文才にすごい自身を持っていらして、「この言い方は違う」「この情報は出したくない」といった感じで、提出した原稿を真っ赤にした修正を出してきたりします。
今のユーザーはスマホで求人広告を読むとか、この一文を消したら前後の繋がりが分からなくなるとか、おかまいなしなので、コピーライターは基本的に「意図を汲みつつ、ユーザーが分かりやすいような修正案」を出すのですが、聞き入れてもらえない時は、仕事内容が超・抽象的な仕事内容になってしまったりします。
こういう採用担当者の場合、固定概念が凝り固まっている場合が多いため、採用基準にも変なクセがあったりします。なので、あまりお勧めはしません。
【理由04】書きたがりの営業が書き直しちゃった
求人広告コピーライターの本来味方であるはずの自社の営業が、自分の求人広告に対する見識と文才に異常に自信を持っている場合に、この悲劇が起こります。ほとんどの場合は、営業が顧客窓口になっているんですね。なので、こういう営業さんが「俺はこの原稿のままではお客さんに出せない!」なんて言い出しちゃって、社内でバチバチッと不毛なケンカが始まっちゃうんですよ。
こういう場合の営業さんは、すごく自信がありますからね。絶対に譲らないんですよ。でも自信なんて大抵勘違いですし、ユーザーからどう見えるか、どう感じられるかを真剣に考えているコピーライターのほうが大体正しいのですが、営業さんは窓口握っていますから、どうにもならなくて営業修正を飲む、といったときにも、超・抽象的な仕事内容の求人広告は生まれてしまいます。
【理由05】具体的なことを書きたくない企業
「ウチは仕事内容を具体的に書くと、マイナスイメージが付いちゃって応募が来ないから、できるかぎり仕事内容の情報は出したくない」と考えている企業も少なからずあります。エン転職の場合は、そういう企業様に対しても、「ミスマッチの採用をしても意味がないから、きちんと具体的な情報を出しましょう!」と説得して出す方向に持っていくのですが。某転職サイトのように、媒体の基本方針として「仕事内容はなるべく書かない。書くと応募が来なくなるから」という信念を持っているところがあったりして、企業様も「某転職サイトさんは出さないほうが応募が来るって言ってたよ!」なんて言い出したりして。押し切られてしまうパターンですね。
そういう、なかば求職者に本当の仕事を伝えないで応募数を集めようとしている企業様ですから、その後、面接などできちんと仕事内容を説明してくださればいいのですが、そうならない可能性もありますので、お気をつけください。
まとめ
・仕事内容が超・抽象的に書かれている求人広告には注意
・仕事内容が決まっていない場合がある
・採用担当が仕事内容を分かっていない場合がある
・採用担当の文才への過信による場合がある
・担当営業の自信によって生まれる場合がある
・情報を出したくない企業の場合がある
結論、求人広告できちんと情報を出さない企業には、それなりの理由がある場合が多かったりするので、応募するなら面接で質問をたくさんして反応を伺いましょう。
今回は以上になります。
みなさんの転職活動のお役に立てばうれしいです!