求人広告のひみつ

求人コピーライターが教える、正しい求人広告の読み方

「固定残業代がある会社=ブラック企業」というのは、間違った認識です

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元求人広告コピーライターがネットに蔓延る転職活動におけるデマをぶった斬っていくコーナー。今回は、「固定残業代がある会社=ブラック企業」というデマが間違っている理由をお話ししていきます。

 

 

固定残業代とは

「みなし残業代」という言い方をされる場合もあります。どういうものかというと、固定給の中に、基本給以外に月●時間分の残業代が含まれている、という給与形態のことです。固定残業の時間は企業によって異なるのですが「月40時間」の企業が多いです。「月80時間」とか書いてあると「うっ」となるのが、一般的な相場観です。


求人広告では、

月給25万円以上
※上記には、月20時間分の固定残業代3万8000円が含まれています。
※月20時間を超えた分については、別途残業代をお支払いします。

といった表記がされています。

 

すでに給与の中に残業代が含まれていることもあり、「固定給が残業代に削られている!」「残業がたくさんありそう!」とヒステリックに求職者の危機感を煽るサイトもありますが、そういうサイトは「だから転職エージェントに任せよう」とアフィリエイトに誘導しているだけのことも多いのでご注意ください。

 

固定残業代というものが、そもそもどうして生まれたのかについてご説明します。

 

仕事をしない残業代稼ぎ社員対策

特に仕事もないのに毎日遅くまで会社にいて残業代を稼いでいる社員。こういう人たちがいるんですね。その対策として、固定残業代制度ははじまったといわれています(諸説あるけれども)。

 

例えば、月40時間分の固定残業代が給与に含まれている場合、社員に追加の残業代が支払われるのは残業が月40時間を過ぎた分からです。あらかじめ、月40時間分の残業代が給与に含まれているわけですから、この制度で残業代を稼ごうと思ったら、月40時間以上、会社に居続けなければなりません。だったら、残業なんてしないほうがいいですよね。そして、毎日定時に帰れる人には、残業していなくても月40時間分の残業代が給与に加算されます。

 

つまり、仕事が早い人がどんどん得をする制度なのです。

 

実は、企業側にもメリットがあります。毎月の残業代の計算と確認に時間とパワーがかかるんですね。でもこのように、あらかじめ多めに支払うように設定しておくことで、毎月、全従業員分の残業代の計算と確認作業がなくなるわけで。

 

本来はこのような使われ方をする制度なのです。

 

悪用している企業が一部存在する

ところが、この制度を悪用している、もしくは、きちんと理解できていない経営者が存在します。こういう人たちが、自分に都合のいいように、固定給の金額を変えずに急に固定残業代制度にしたり、固定残業代制度だから残業代は出ないと言い出したり、過労死ラインを上回る月90時間設定にしていたり、滅茶苦茶なことをやっています。これは断ぜられるべきです。見分け方は、

 

(1)社員全員が見られる就業規則や賃金規定に固定残業代のことが書かれている
(2)固定残業代のみなし時間と金額がきちんと明示されている

 

この2点がなされていない場合は、然るべき手続きを取れば、残業代を請求することができます。

 

また、固定残業代制度を適用している場合は、求人広告の給与欄にも記載が義務付けられています。求人広告には書かれていなかったのに、面接に行ったら「実は固定残業代制度がある」なんて言われる会社は、ゼッタイ辞めておきましょう。

 

こういった一部のアホ経営者によって、制度の在り方が歪められ、「固定残業代がある会社=ブラック企業」といったデマが流されてしまう事態が起きてしまうのは、残念なことですね。

 

求人広告で注意するべき点

固定残業代のある求人広告を見つけたとき、注意するべき点は、社員の平均残業時間がどれくらいか?ということです。きちんとした企業の場合、勤務時間の項目に、社員の平均残業時間が書かれています。

 

月40時間の固定残業代が設定されていても、平均残業時間は10時間といったことがほとんどです。

 

求人広告に書かれていない場合は、面接で聞いてみましょう。歯切れの悪い答え方をする会社に出会ったら辞めたほうがいいですね。ほとんどの企業は、「配属先によって変動するけど…」と教えてくれますよ。

 

なので、

 

求人広告を見て「固定残業代があるからパス!」と無下に扱わないでください。間違った認識を持つということは、不用意に選択肢を減らしてしまうことでもあります。蹴った企業の中に天職がある可能性もあるわけですから。大切なのは、きちんとした知識を持って判断することです。

 

まとめ

・固定残業代がある会社=ブラック企業ではない
・固定残業代はグータラ社員の残業代稼ぎ対策として生まれた制度
・仕事の速い人間が得をする制度
・しかし悪用するアホ経営者がいる
・配属部署の平均残業時間をチェックしてみよう

 

以上になります。
こちらの情報があなたの転職活動のお役に立てば幸いです!

 

 

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