求人広告のひみつ

求人コピーライターが教える、正しい求人広告の読み方

求人広告コピーライターが教える、騙されない求人広告の読み方

f:id:taisk:20191219150252j:plain

求人広告に書かれていることを疑っている人も多いのではないでしょうか。ウソばかり書かれているとも。そして、求人広告コピーライターはその実行犯だとも。それは大きな誤解です。

 

 

なぜ、求人広告は騙そうとするのか

その認識は間違っています。基本的に、求人広告は求職者に正しい情報提供を行なう姿勢です。というのも、求人に関わる企業の多くは、全国求人広告協会(https://www.zenkyukyo.or.jp/)という協会に所属しています。この協会は、求人広告事業に携わる企業が、常に求職者に対して信頼できる情報を提供するために、倫理綱領と掲載基準を遵守し、求人広告として相応しくない広告を排除し、読者・ユーザーに、分かりやすく正確な情報を提供することを目的としている協会です。求職者に不利な情報提供が行われないように、厳格な取り決めがなされています。

求人広告は、求職者を騙そうとはしていません。

騙す求人広告が生まれる理由

では、なぜ、「求人広告に騙された!」という被害報告が後を絶たないのでしょうか。それは、

(1)求職者の労務リテラシーが低く、騙されたと思ってしまう
(2)企業の法令順守の意識が低く、嘘の情報を出してしまう
(3)メディアの一個人の倫理観が欠如していたため、嘘情報が世に出てしまう

(↑)このようなことによって起きてしまうと考えられます。

(1)について。求職者自身が「週休二日制」と「完全週休二日制」の区別がついておらず、「なんだよ、毎週土日休みじゃねーのかよ!騙された!」と思ってしまったり。「月収25万円と書いてあったのに基本給18万円だって!」と怒っているのですが、よくよく見ると各種手当でついて月収25万円は事実だった…という勘違いによって生まれてしまいます。

これ、意外と多いです。そもそも学校で教えてくれませんし、興味がないと調べないですよね。悲しい負のコミュニケーションは誤解から生まれます。

(2)について。求人広告では、基本的に「これから作る予定のもの」は表記できないことになっています。福利厚生や新事業や新ポジションといったものですね。しかし、経営者の中には「俺の中ではやることは決まっているから、不確かな予定じゃない!」といった謎理論によって、求人メディアの取材時にさも「すでにあるもの」として語ってしまうことがあります。

求人メディアは、企業側が言ったことを事実かどうか口頭で確認することはできますが、調べる権限はないんですね。それで、嘘の情報が掲載されてしまうこともあります。もちろん、こういった企業については、求職者からクレームがあった場合、掲載不可といった罰則が取られるのですが、先手は取れないのです。

(3)について。ローキャリアメンバーの倫理観の教育不足から起こってしまうのですが、「営業成績がやばいから、掲載不可の情報は聞かなかったことにしよう」とか「載せていいかどうか分からないけど載せちまおう」といったことから発生します。

どの求人メディアにも制作規定というルールブックがあるのですが、これを覚えるのは大変なんですよ。いや、覚えないといけないんですけどね。厳格に○×が判断しやすい内容もあれば、少し考えないといけないものもあり、特にローキャリアメンバーは理解が追い付かず過ちを起こしやすいのです。

このようなイレギュラーによって、求職者を騙す求人広告は生まれてしまいます。

そして、これは求人広告コピーライターの功罪でもあるのですが、コピーライターは広告として体裁をよくしてしまえるのです。そのため、コピーライターは嘘情報だとは知らないまま、その嘘情報をきちんとした求人広告のように仕立ててしまう。

ゆえに、求職者からすると、どの求人広告もきちんとしていて、その中にたまに上記(1)~(3)の理由で嘘情報が混じってしまったりするものですから、見分けがつかない=すべて怪しい、みたいな見え方になってしまっていると思います。

なかなか根深い問題なんです。メディアの中の人間でも、事態が明るみに出るまで分からなかったりしますから。

 

騙されない求人広告の読み方

そんな絶望的な状況ですが、騙されないための求人広告の読解テクニックがあります。それは、「書いてあるべきなのに、なぜか求人広告に書かれていない情報を見つける」というものです。

どういうことか。

求人広告は、先に説明した通り、基本的にすべて情報をオープンにしていく姿勢で作られます。「書かれていない」というのは、意図的に「隠されている」と見て間違いありません。「隠されている」ということは、「触れてほしくない」ということ。この「触れてほしくない」ところに、具体的な情報を求めて質問を行なうと、真実が明るみに出てきます。

隠されている情報の一例をご紹介します。

・責任者募集なのに、前任者がどうなったか書かれていない
・新部署の募集なのに、どれくらいの組織か書かれていない
・新ポジションの募集で、業務内容が書かれていない
・未経験募集なのに、教育方法と教育期間が書かれていない
・高額インセンティブとあるのに、月収例が書かれていない
・有休取りやすいとあるのに、取得率が書かれていない などなど

知りたいと思うことを質問するのは、求職者として当然の権利です。遠慮はいりません。きちんとした答えが返ってきた場合は信じていいと思います。歯切れの悪い返答だったり、態度を急変させる企業の場合は、その企業とは距離を取ったほうがいいでしょう。

企業は、情報を隠すことで求職者に「何も伝わっていない」と思いがちです。しかし、隠していることを意識して見つけることで、「何を隠したいのか」「隠さなければならない理由」が求人広告で雄弁に語られはじめます。

 

まとめ

・求人広告は求職者に適切な情報を提供しようとしている
・一部の人たちによって嘘情報の求人広告が生まれる
・体裁が整えられてしまうので、パッと見では嘘は見抜けない
・騙されない求人広告の読み方は、意図的に隠されている情報を探すこと
・隠していることには必ず意味がある
・隠している部分は具体的な答えが出るまで質問すべし

今回は以上です。
この記事が、求職者のみなさんの転職活動の一助になれば幸いです。

 ▼▼「良い!」と思ったらクリックお願いします!▼▼
にほんブログ村 転職キャリアブログへ